2010年9月27日月曜日

エンドレス・トラブル

室内にある間接照明がつかなくなるというトラブルを経て,
今度はバスルームのスイッチが押せなくなるという新たなトラブルが勃発しました.
特にぶつかったとか,強く押したというわけでもないのに,
スイッチが押せなくなってしまい,仕方ないので解体して調べてみることに.
こんなときのためにドライバーを8本も持ってきたのが幸いしました.



しかし,解体しても原因は特定できず.しかも,直そうと思った際に変なところを
いじってしまったのか,廊下の電気もつなかなくしてしまいました orz
おまけに感電もするし...ドライバーなんて持ってくるんじゃなかった(笑).

このままではシャワーもトイレも暗闇の中でしなくてはならない!という最悪の状況かと
思ったのですが,幸運にも洗面台にライトがついていました(しかも明るい!).

この状況に打開すべく,自宅で電気工事中のMatteoにその業者を
紹介してもらえるよう頼んだのですが,そこはイタリア.
今日来るといっても来なかったり,なかなかうまくことが運んでくれません.
まあ,暗闇でないのでそれほど不自由はないのですが,何とかしないと...とは思っています.

イタリアでは主張と忍耐が重要だということは,もうわかりきっているので,
その線で抗していくしかないでしょう.それにしてもこの家,トラブルが絶えない物件です(爆).

2010年9月25日土曜日

こんなお店にご用心

浅沼さん滞在2日目の夜はちょっと嗜好を変えて中華を食べに行こうということになり,
カステッロ広場近くにある「都城酒楼(Du Cheng)」というお店に行きました.



リスボンで中華料理に対する良いイメージができていた私は,
トリノでもさほど外れないだろうという淡い期待を抱いていました.
しかし,その淡さに厳しい現実が突きつけらようとはこのとき思いもよりませんでした.



中国人が経営しているらしく,店内の装飾も割としっかりして良い感じ.
メニューも英語での表記があって,青椒肉絲と日式海鮮麺,麻婆豆腐を頼みました.



そして事件は起こりました.出てきた海鮮麺がインスタントラーメン!!!
しかもカニかまみたいなものが入ってる.この時点で嫌な汗がたらり.
味もどうやら同封の粉末スープをそのまま使っているようで,お湯が少ないからしょっぱい.



青椒肉絲は,ピーマンをざっくり切ったものと牛肉が入っているだけ.「絲」は細切りですよね.
麻婆豆腐は,挽肉もなければ豆腐もスープとまったく絡み合っていません.
青椒肉絲と麻婆豆腐は許せても,もの凄く味の濃いインスタントラーメンはないでしょう.

日本人だと思ってバカにされているのかとも思いましたが,
周りもさして代わり映えのしない料理が出されている模様.
しかもしばらくすると次から次へとイタリア人のお客さんが入ってきて,店内は満席状態.
日本なら数ヶ月と持たないでしょうが,イタリアではこういう味がうけるみたいですね.

「地球の歩き方」やトリノのレストランを紹介してくれているサイトにも載っているので,
個人の好き嫌いもあるかと思いますが,私にはちょっとお勧めできない味でしたね.
それとも最近は,味が落ちてきてるということなのでしょうか?

このお店は,メニューも豊富で価格も割と安いですが,中華料理を名乗っているお店が,
あの味付けのインスタントラーメンを出すのはいかがかなと思います.
まともに飲み食いできたのは青島ビールだけ.浅沼さん,本当にすみませんでした.

ネタ次いでに日本料理屋に行ってみようということになり,
これまた自宅近くの「daiichi」へ(漢字をあてるとおそらく「第一」).
ここはタイ料理と日本料理の二枚看板という不思議なお店ですが,
ウェイトレスに事情を聞いて合点がいきました.料理人がすべてタイ人なのです.
ですが,オーナーはイタリア人のようで,店内でしきりにあれこれ指示を出していました.



このお店も店内はイタリア人のお客さんで満席.入店を待っているお客さんもいました.
トリノでは私が知るだけで4軒日本料理屋がありますが,いずれのお店も結構繁盛しています.
「daiichi」では,海外向けの一番搾りやサッポロ黒ラベルも置いています.



メニューはローマ字表記の日本語.中には「Tatami」とか名前から想像できないメニューも.
Nigiriは結構ネタも新鮮でいけました.特にサーモンはおいしかったです.



浅沼さんが注文した「Battera」.イタリアでバッテラはないだろうと思ったら,
料理を持ってきたオーナーがさりげにイタリアンバッテラと付け加えていました.
モッツレラチーズの上にズッキーニとナスが乗っています.
どうやらバッテラのように押してあるということのようです.
味は日本人には何ともいえない不思議なものでした(笑).

全体的に値段はそこそこお高めで,日本で食べる1.5倍から2倍はしました.
日本の味とは異なる食べ物なので,また食べに来たいとは思いませんでしたが,
現地の日本料理を知る上で一度来てみたのは良かったのかもしれません.



浅沼さんは,翌朝の電車でアンコーナへ帰宅.
チェゼーナの長友選手の試合を見たいねという話になったので,
チェゼーナかトリノで一緒にサッカーを見に行けたら嬉しいですね.

2010年9月24日金曜日

トリノでエジプトに思いを馳せる

9月からアンコーナに派遣されている東北大の浅沼さんが
6時間かけて電車でトリノに2泊3日で遊びにきてくれました.
本来ならユヴェントスの試合でも一緒に見に行けたらよかったのですが,
ちょうど浅沼さんが滞在された前後でホームの試合があって日程が合わず.
なので,今回はトリノ市内の観光がメインとなりました.



到着されたのが19時近くだったので,この日は自宅近くのリストランテへ初トライ.
肉料理の店か魚料理の店かで迷ったのですが,浅沼さんの希望で肉料理のお店へ.
やはりピエモンテ料理といったら肉でしょう.この選択は間違っていなかったようで,
われわれが悩んだもう一件のお店は,後日Matteoから良くなかったと教えられました.





イタリアに住んでいながら,イタリア語に弱いわれわれは(特に私ですが),
わずかな知識と勘を頼りにチーズとサラミの盛り合わせ(中央にあるビンはハチミツ),
肉詰めパスタ,ニンニクとツナソースがかかったピーマンなど,
ピエモンテ料理を注文することに成功.ワインもわりかし重厚な赤を頼んで堪能できました.
値段も手頃で店員も英語を話せたので,このお店はまた利用することにしようっと.





カステッロ広場では,サイエンス・コミュニケーションのイベントが開催されていたようで,
トリノやピエモンテ州の大学の人たちが市民に研究成果をわかりやすく解説していました.
市内のメイン広場で22時を過ぎても大勢の人たちで賑わうサイエンスのイベントって
日本じゃなかなか考えられないですよね.やはり体験型の実験が人気を集めているようでした.
中には交通シミュレーションみたいのもありましたが,あまり人気はなかったようです.

夜は近所のバーでビールを飲みながら研究よもやま話.いろいろ歩けるようになりましたね.

翌日は,浅沼さんの希望でドゥオーモ内部やエジプト博物館を見学しました.
なぜトリノでエジプト?という疑問は当然抱くところですが,
トリノは言わずと知れたエジプト資料の宝庫なのです.



その由来は19世紀にナポレオンのエジプト遠征に従軍した
エジプト学者のベルナルディーノ・ドロヴェッティの収集品を
サルデーニャ王国(イタリア統一した国)が購入したことにさかのぼります.
今回,その貴重なコレクションをちょっとだけお見せいたします.











実はイタリアに来る直前に日本で開催されていた「トリノ・エジプト展」を観に行ったのですが,
やはり本家の展示物のほうが展示法,展示量ともに見応えがありました.
特に彫像はその数の多さとスケールの大きさに圧倒されました.
トリノには楽しめる意外な穴場がまだまだありそうです.

2010年9月23日木曜日

進化経済学 基礎

今夏に校正作業のあった進化経済学の新しい教科書
『進化経済学 基礎』が9月末に日本経済評論社より刊行されました.
この本を作成する過程は,ほんの少ししか見ていませんが,
話に聞くと数年越しの長い長い作業だったようです.

私はこの本の中で第3章1節の
「複製子と相互作用子による制度進化の記述:サーキットブレーカーを例として」
を橋本さんと一緒に担当しています.

進化経済学 基礎 (進化経済学にチャレンジ)進化経済学 基礎 (進化経済学にチャレンジ)
江頭進・澤邊紀生・橋本敬・西部忠・吉田雅明編

日本経済評論社
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株式市場には相場が大きく変動した時に市場での取引を一時的に
中断させる「サーキットブレーカー」という制度があります.
この制度の狙いは,株価の暴落を直接抑えて市場の混乱を未然に回避することにあります.

2008年9月のリーマンショックによる金融市場の混乱をきっかけに世界各国の
証券取引所でこの制度を導入したり,改変したりする事例が相次いで起こりました.
しかしながら,サーキットブレーカー制度の導入をめぐっては,
その実効性について研究者の間から懐疑的な見解も数多く見られます.

本教科書では,実効性に関して経済効率性だけでは説明できないサーキットブレーカーの
制度変遷を複製子・相互作用子という進化経済学の基礎的概念を用いた説明を試みています.
現実の3つの取引所(ニューヨーク,大阪,韓国)における制度変遷を例にしながら
図も交えたわかりやすい形で,導入した概念による説明の有効性を示しています.

進化経済学によって経済社会をどのように捉えることができるのか?
きっといままでないユニークで面白い教科書になっていると思いますので,
興味を持たれた方はぜひご一読ください.よろしくお願いいたします.

2010年9月19日日曜日

マルペンサ空港にて

1週間のリスボン滞在を終えるべく,ひとりバスにてリスボン空港へ.
イタリアの搭乗検査はザルですが,リスボンはわりとしっかりしてました.
ゲートで何かが反応して,綿密なボディチェックと金属探査機にかけられました.

座席は事前チェックインで進行方向左の窓側を予約したおかげで
アルプスの山々がバッチリと見えました.欧州旅行の際には座席の位置,重要です.

夕方にマルペンサ空港に着き,トリノ行きのバスチケットをカウンターにて購入...
しようと思ったら,バスチケットは車内販売だと言われ,バス停で1時間の待ち時間.

その間,インド系の女性に私が座っていたベンチを譲れと強要されるなど,
辛い時間を送っていました.ようやくバスが来て,荷物を詰め込み,バスに乗ろうとすると,
チケットは車内販売ではない,空港のカウンターで買ってこいと言われて青ざめる.

何せ荷物は一番最初に詰め込んでいて,既に多くの荷物の下に埋もれているのです.
あたふたしていると,先ほどのインド系女性もチケットを持っていなかったらしく,
大慌てで空港ターミナルに戻っていくではありませんか.その後をダッシュで着いていくと,
女性はカウンターで列に並んでいる人を無視してトリノ行きのバスチケットをくれと叫んでいます.

ここ,最初にチケットを買おうとしたカウンターじゃないか.やはり私が間違っていなかったらしく,
先ほど対応してくれた女性とは別の女性がすぐにチケットを売ってくれていました.
私も背に腹は代えられないので,失礼ながら列を無視してチケットを無理やり購入.

先ほどのインド系女性の態度には少々イラッとさせられましたが,
彼女にイタリアでのたくましい生き方を教えてもらったような気がします.

そして人によって言うことがまったく異なるという現象に遭遇して,
イタリアに戻ってきたなという変な感慨にも浸れました.

おかげでバスには間に合いましたが,最後の最後で何か起こるのは
もうお約束みたいになってきて,むしろ楽しみにもなってきました.
来月もこのバスに乗る予定があるので,今度は何が起こるか乞うご期待(はぁ).

2010年9月18日土曜日

リスボンで出会う

長かった会議も終わり,完全休暇でリスボンの街めぐり.



一昨日にも足を運んだお店でまたもやサルデーニャ・アサードとエビのスープ.
今日はそれにイカ焼きもつけてみました.ですが,イワシとエビのこの組み合わせは,
「キャプテン翼」における翼・岬のゴールデンコンビ並みの強力なタッグ(謎).



リスボンに来たらこのお店に来て,この2つを注文すべし.店名は失念しましたが,
確か「地球の歩き方」に載っていたはずです.値段は2つで10ユーロもいきません.
ちなみにポークやチキンも炭焼きです.常連の多くはお肉を注文しているようでした.



この店を出た後,スペインへ向かう長滝さんとお別れし,橋本さんとふたりで行動.
手始めにリスボンを見渡せるサンタ・ジュスタのエレベータに乗車.
今から100年以上前の1902年に完成した歴史あるエレベータです.



先日攻め落としたサン・ジョルジェ城(まだ言うか).高台にあるのがわかります.



ロシオ広場に面したマリア2世国立劇場.広場の床は波を打っているように見えます.

ここからリスボンの街を眺めていると,「日本人ですかー」と話しかけてきた少女が.
聞けばスペインに短期留学している女子大生で,リスボンには観光で今朝着いたばかりだとか.
てっきり家族旅行で来ている中学生かと思ってしまいました(失礼ですね,ゴメンナサイ).
その彼女とエレベータにあるカフェで一緒にお茶をしながら,しばし歓談.



親子...じゃないですよ.

スペインにはバイトで貯めたお金で留学し,これまでもスペイン,
メキシコに短期留学しているとのこと.リスボンにはスペインから夜行バスで来て,
さらにそこからイタリアまでひとりで長期旅行するそうな.
その話を聞いて,初めて国際会議に行くときに超ビビっていた自分が恥ずかしい.

その後,これも何かの縁ということで一緒にリスボンの街をめぐることに.



イタリアとは違って改札がありました.ここロシオ駅からの行き先はすべてシントラ.



リスボンで最も賑わっているアウグスタ通り.トリノのガリバルディ通りみたな感じ.





行ってみたかったリスボンのカテドラル.ステンドグラスのバラ窓が美しい.



街の片隅にあった缶詰屋.この女性の絵が昔の3Dポリゴンみたいで,激しい違和感が.
お店は繁盛していたので,缶詰はおいしいのでしょう.



アウグスタ通りの終着点,コルメシオ広場.アーチとジョゼ1世の騎馬像が夕日に染まる.



この広場の一角にあるLisbon tasting roomでポルトガルワインの試飲ができます.
ただ飲ませてくれるだけではなく,4種類のワインを飲んで評価する必要があるのですが,
橋本研でも違いのわからない男で名の通っている私にそんな難しい芸当ができるわけもなく...



すべておいしくいただいて適当な評価と感想をつけておきました.
ポルトガルワインの三産地の味を堪能できるので,ワイン好きにはお勧めのスポットかも.



偶然にも彼女が宿泊しているホテルがわれわれの宿泊しているホテルの近くだったので,
以前訪れたホテル近くのSanta Mariaで夕食も一緒に食べることにしました.
ここでもサルデーニャ・アサードを頼みましたが,炭焼きじゃなかったので全然ダメ.
でも大きなエビはおいしかったですよ(それにしてもエビ食べ過ぎ).



最後に3人で記念撮影.



帰り際に運ばれてきた巨大魚.その大きさにただただ唖然!

2010年9月16日木曜日

リスボンを攻める



日本で市電というと平地を走るものというイメージがありますが,
リスボンでは坂が多いためか,市電が急坂を上り下りしています.
しかも車両が古く,日本のものと比べて小さいものだから,
ガタガタと揺れてさながらジェットコースターのようです.



市電の内部はこんな感じ.木のぬくもりがあります.



サンタ・ルジア展望台からの眺め.眼前に広がるのは海ではなく,デージョ川です.



広場では何かの撮影をしていたようで,ちょっとジャマみたいなジェスチャーをされました.



リスボンの高台にそびえるサン・ジョルジェ城.西洋の城を攻めるのじゃー!



狭い階段をひいこらと上り,天守はすぐ目の前だぞー.



リスボン攻め落としたなりー!!葡萄牙も遂に我の手に...以上,寸劇でした.



城内の博物館にて,貨幣の歴史についてお勉強.



サン・ジョルジェ城の入口にあるショップで商品を眺めていたら,
どこかで見覚えのある顔が載ったCDが売られていました.
はっ!カンファレンスディナーで演奏していたファドの人たちだ!しかも3人とも写っているし.
CDを出すくらい有名だったんですね.試しにお店の人に,この歌手は有名ですか?と聞いたら,
すごく有名だと言っていました.どおりで上手すぎるわけだ.
街角のファド歌手ではなく,CDになるくらいのファド歌手の生演奏を聴けて,
われわれはなんてラッキーだったのでしょう!



駐車違反のレッカー移動を待つ市電.この辺の呑気さはイタリアと通ずるものがあります.
何ともならないものは何とかなるまで待つしかない.これ大事.



港近くの市場でランチをすることしていたのですが,市場はすでに営業を終えていました.



それにしてもリスボンは坂が多くて,勾配がキツイ.ちょっと歩くだけで太ももが痛くなってきます.



というわけで,リスボン名物ケーブルカーに乗車.車体はなぜか全面キラキラしています.
空腹のうえ,上り坂に苦しめられてグッタリしている私.



ケーブルカーはすごく短く,あっという間に上まで着いてしまいました.



ケーブルカー駅近くにあったお店でようやくランチ.
炭焼きのサルディーニャ・アサード(イワシの塩焼き)をいただきます.
粗塩がふってあるだけですが,これがめちゃくちゃおいしい!
やはり地元の魚には地元の塩ですよね.ちなみに添えつけのポテトもGOOD!



そして気に入っておかわりまでしてしまったエビのスープ.
ちょっと濃いめですが,濃厚なエビのエキスがぎっしりです.



この日の夕食は近くのイタリアンレストランへ.イタリアンは食べ飽きた感があるものの,
メニューを見るとホッとするのは,だいぶイタリアに染まっている証拠でしょうか.
ここでもエビに手を出し,ニンニクとオリーブオイルのフリットがつまみにもってこいの味でした.