2010年8月12日木曜日

キートラブル

私が住んでいるアパートには,まず通りの入口に扉があり,
そしてアパート自体の入口に扉があって,自室の扉へと続いています.
そのアパートの扉はオートロックで,鍵がないと入ることはできません.

スイスから戻ってきた日,そのアパートの扉の前で困っている様子の女性がいました.
どうやら扉の鍵を持っておらず,中に入られないとのこと.
それならと私が鍵を出して鍵穴に差し込もうとするも,まったく入っていきません.
あれ?あれ?おかしいな.この扉の鍵穴にはいつも苦戦させられているのですが,
どうも今回は鍵穴自体に鍵が通りません.

女性からは冷たい感じで「あなたもなのね」みたいなリアクション.
片言の英語のやり取りで.どうやら扉の鍵が交換されていることがわかりました.
扉の前に張り紙が貼っていると言われても,イタリア語は一切読めませんから.
そして,意味がわかったとしても中には入られません.

時刻は21時,外は大雨.イタリア人女性と茫然自失.
待てど暮らせど出入りする人は現れません.すると,女性がやけになってか,
アパート住人の呼び鈴を片っ端から押し始めたではありませんか.
さすがイタリア人,なりふり構わないな...と思っていると
扉の鍵がガシャと開いた.誰かが遠隔で開けてくれたんですね.

よかった,よかった...ではありません.
とりあえず今日は入ることができましたが,
明日からどうやってアパートに出入りしたらよいのでしょう.
女性に鍵の入手方法を聞いてみると,
明日の午前中のうちにアパートから左に曲がったところに行けというばかり.
地図を書いてくれと言っても要領を得ません.

不安の中,翌朝とりあえず不動産会社を訪ねてみることに.
8月だから営業していないかもと思ったら,見事にお休み.
さて,どうやって戻ろうか...アパートの近くをウロウロしていると,
扉に貼ってあったのと同じ紙が貼っている部屋を発見.
何か情報が得られるかもと思い,覚悟を決めて呼び鈴をエイッと押してみる.

と,横から男性が現れて,いま鍵あけるからといってその部屋の中に入っていく.
身振り手振りで説明したのが通じたのか,男性はイタリア語で何か言いながら
アパートの鍵を渡してくれました.この人,管理人だったのね.

そんな人がいるなんてまったく説明を受けていなかった私は,
たまたま運良く管理人さんに出会えることができました.
しかも常駐時間は午前中のみだそうで,
彼が帰る寸前ギリギリで捕まえることができたみたいです.

名前も語らないのに鍵をもらえましたが,こんな雑な感じでよかったのでしょうか.
何はともあれ,これで外出できないという事態は避けられました.
それしても,いきなり鍵を交換するなんて,イタリア流恐るべしです.
でも,アパートの扉が格段に開けやすくなりました(笑).