私が住んでいるアパートには,まず通りの入口に扉があり,
そしてアパート自体の入口に扉があって,自室の扉へと続いています.
そのアパートの扉はオートロックで,鍵がないと入ることはできません.
スイスから戻ってきた日,そのアパートの扉の前で困っている様子の女性がいました.
どうやら扉の鍵を持っておらず,中に入られないとのこと.
それならと私が鍵を出して鍵穴に差し込もうとするも,まったく入っていきません.
あれ?あれ?おかしいな.この扉の鍵穴にはいつも苦戦させられているのですが,
どうも今回は鍵穴自体に鍵が通りません.
女性からは冷たい感じで「あなたもなのね」みたいなリアクション.
片言の英語のやり取りで.どうやら扉の鍵が交換されていることがわかりました.
扉の前に張り紙が貼っていると言われても,イタリア語は一切読めませんから.
そして,意味がわかったとしても中には入られません.
時刻は21時,外は大雨.イタリア人女性と茫然自失.
待てど暮らせど出入りする人は現れません.すると,女性がやけになってか,
アパート住人の呼び鈴を片っ端から押し始めたではありませんか.
さすがイタリア人,なりふり構わないな...と思っていると
扉の鍵がガシャと開いた.誰かが遠隔で開けてくれたんですね.
よかった,よかった...ではありません.
とりあえず今日は入ることができましたが,
明日からどうやってアパートに出入りしたらよいのでしょう.
女性に鍵の入手方法を聞いてみると,
明日の午前中のうちにアパートから左に曲がったところに行けというばかり.
地図を書いてくれと言っても要領を得ません.
不安の中,翌朝とりあえず不動産会社を訪ねてみることに.
8月だから営業していないかもと思ったら,見事にお休み.
さて,どうやって戻ろうか...アパートの近くをウロウロしていると,
扉に貼ってあったのと同じ紙が貼っている部屋を発見.
何か情報が得られるかもと思い,覚悟を決めて呼び鈴をエイッと押してみる.
と,横から男性が現れて,いま鍵あけるからといってその部屋の中に入っていく.
身振り手振りで説明したのが通じたのか,男性はイタリア語で何か言いながら
アパートの鍵を渡してくれました.この人,管理人だったのね.
そんな人がいるなんてまったく説明を受けていなかった私は,
たまたま運良く管理人さんに出会えることができました.
しかも常駐時間は午前中のみだそうで,
彼が帰る寸前ギリギリで捕まえることができたみたいです.
名前も語らないのに鍵をもらえましたが,こんな雑な感じでよかったのでしょうか.
何はともあれ,これで外出できないという事態は避けられました.
それしても,いきなり鍵を交換するなんて,イタリア流恐るべしです.
でも,アパートの扉が格段に開けやすくなりました(笑).