2010年11月16日火曜日

Madama Butterfly

イタリアにいるうちに観たいと思っていたのがオペラ.
この度,その希望を歴史あるレージョ劇場で叶えることができました.

レージョ劇場のボックスオフィスでもらってきたパンフレットをもとに
狙いをつけたのが日本人にも馴染みの深い「マダム・バタフライ(蝶々夫人)」.
欧州でも人気の演目のひとつで,一般発売と同時にアッという間に
売れてしまうので,密かに1ヶ月前からチケットを押さえていました.



開演45分前にチケットを受け取るためにレージョ劇場に到着(自宅から徒歩10分です).
チケットボックスの前に正装したスタッフがいたので,引き換え所を聞いてみると
彼がチケットを持っていました.名前を確認してチケット受け取り完了.
身分証明書を持ってこいと言われていましたが,何もなかったです(結構いいかげん).



オペラを一度も観たことがなかった私は,オペラにはドレスコードがあるらしいという
恐怖の情報をネットで目にし,この日できる限りのオシャレをしていきました(笑).
といってもワイシャツにジャケットを羽織っただけですが(靴がスニーカーだったのは内緒).
ですが,男性観客の4割ほどはノーネクタイで,中には普段着みたいな人もいました.
ザ・社交界!みたいな女性は何名か見かけましたが,ちょっと浮いてる感じでしたね.
なのでレージョ劇場での観劇はミラノのスカラ座なんかに比べると気が楽かもしれません.



マダム・バタフライということで,会場内には蝶の飾りがありました.



これまでにオペラで使われた衣装も展示されていました.



私の座席は1階席の後方.レージョ劇場はアリーナが扇形になっているため,
どの座席からも視認性が抜群とのこと.座席もゆったりとして座り心地が良いため,
お尻が痛くなるなどのストレスなく,気分良く観劇することができます.



豪華なシャンデリア!どうやって掃除するのだろう...そんなことが気になります(笑)

マダム・バタフライのストーリーは事前に勉強していたので,歌と演奏を楽しもうと
思っていたのですが,幕が開いたのっけから面食らってしまいました.
演出が現代風にアレンジされていて,本物の車とかジーパンをはいてる人がいるのです.
もっとビックリしたのが街にある看板にでかでかとプレイボーイの表紙や
マクドナルドの広告が使われていたこと.「最強の下半身」,「小倉優子」とか
「ニッポンのハンバーガーよ,もう遊びは終わりだ」とか書かれていて,
ちょっと笑ってしまいました.日本にもそんな街ないよって.

ここで興ざめする日本人もいるかもしれませんが,むしろこれで私は興味がわきました.
イタリア人から見た現代日本ってこんな感じなのかって.時代考証は難しいわけですが,
現代の日本ならある程度は正確にトレースできるはず.それなのにこういう作りなのは
イタリア人における日本の猥雑な街のイメージが大げさに表現された結果なのでしょう.
きっとそこには正確さなんていらなくって,雰囲気だけ伝われば観劇の邪魔にはならないと.

オペラはイタリア人でも言葉が聞き取りにくいのか,
上方にイタリア語字幕が表記されていました.英語字幕は当然ないわけで,
舞台での立ち振る舞いや音楽からストーリーを追っていきます.
実はこれってすごく感性を刺激する観劇方法だと後で気づきました.
音楽も歌ももちろん曲の中にそれぞれの喜怒哀楽が込められているわけですが,
オーケストラピットが見えるので指揮棒を振る大きさでも,その情感が伝わってきます.
オペラってすごいなって素朴に感動しましたし,有名なアリアである「ある晴れた日に」
を聴き終えた後には背筋がゾクゾクって震えました.



本来は目立ってはいけないのかもしれませんが,
クライマックスでは指揮者も熱が入ってか,飛び跳ねていました.
カーテンコールで観客からブラーボの声が飛んできたときには,胸がジーンと熱くなりました.

今年のレージョ劇場のオペラはこの演目でおしまい.あとはバレエのみがある模様.
バレエも観たことがないので,行ってみたいのですが,チケットが取れるか悩みどころです.