2011年7月27日水曜日

地域通貨流通実験のDP刊行

北海道大学の西部先生と栗田さんと共同で行っている貨幣意識の論文が
ディスカッションペーパーとして刊行されました.書誌情報は以下の通りです.

小林 重人,栗田 健一,西部 忠,橋本 敬(2011)『地域通貨流通実験にみるミクロ・メゾ・マクロ・ループの流れ-メゾレベルの貨幣意識を中心にして-』,「北海道大学大学院経済学研究科 Discussion Paper Series B」,No. 2011-96.

この論文は今年3月に開催された進化経済学会での発表内容に対して,
研究会や学会での議論を踏まえて修正を加えたものとなっています.

我々は,貨幣制度が制度生態系を形成していることに着目し,
複数の貨幣が共存している現実は,経済合理性という観点だけで十分説明できず,
貨幣は人々が抱く価値規範を反映した制度でもあるという仮説を提示してきました.
提示した仮説を検証するために,これまで人々の貨幣意識をアンケートによって調査し,
4カ国のべ300人以上から回答を得てきました.

主な成果として社会活動の違いによる貨幣意識の差異,
地域通貨の流通実験前後による貨幣意識の差異を明らかにすることで,
貨幣意識の差異から制度形成および変化のメカニズムを探ってきました.
しかしながら,ミクロ・メゾ・マクロ・ループにおいて貨幣意識の変化がどのように起こり,
ループ内の関係に影響を及ぼしているのかについては説明できていませんでした.
本稿では,仮説として示したミクロ・メゾ・マクロ・ループがどのように機能し,
貨幣意識と相互作用を行っているかについて検討,説明するものとなっています.

分析内容と結果につきましては,論文をご参照ください.
論文は北海道大学のリポジトリであるHUSCAPよりダウンロードすることができます.